ガーデンテラス703号



私の肩を抱いて繁華街の方へと歩きながら、森岡さんが色々と話しかけてくる。

さっきのホタルのお店の雰囲気だとか、お酒や料理の評価だとか。

たぶんそんな内容だとは思うのだけど、肩を抱かれていることで緊張している私の耳には、その内容がほとんど入ってこなかった。

抱かれている方の右半身が、やけに緊張して首筋や肩が凝り固まってくる。

歩いていると、ときどき森岡さんと軽く身体が触れ合ってしまって、なおさら緊張する。

意識すればするほど緊張感が高まってしまって、足を前に出すことさえもギクシャクしてしまうのがわかった。

それでも、森岡さんと並んで歩くペースを乱さないように必死で足を動かしていたら、ついに足がもつれて躓いてしまった。


「大丈夫?」

前に転びかけた私を、森岡さんが横から抱きとめるように助けてくれる。

ふわりと、彼の纏う香水の匂いが鼻を掠めてドキリとした。


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