ガーデンテラス703号





家に帰ってお風呂から出てくると、部屋に置きっ放しにしていたスマホにメッセージが届いていた。


『あと30分くらいで着く』

用件だけを伝える、簡単なホタルからのメッセージ。

それがいつ届いたのか時間を確認すると、もう20分くらい前だった。

ということは、もう間もなくホタルが帰ってくる。


そんなに早く帰ってくるとは思っていなかったから、ゆっくりお風呂に浸かっていたし、ドライヤーをあてていない髪はまだ濡れたままだ。

肩にかけたフェイスタオルで髪を拭きながら、あわてて洗面所へと走る。

洗面台の下の棚からドライヤー取り出して、鏡の横のコンセントにプラグを差し込んだちょうどそのとき。

エントランスに人が来たことを知らせるチャイムが鳴った。

きっとホタルだ。

仕方なく、ドライヤーは諦めてインターホンに出る。


「はい」

「開けて」

インターホンのカメラに映るホタルが、こちらに視線を合わせることなく低い声で指示をする。


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