ガーデンテラス703号
◇
家に帰ってお風呂から出てくると、部屋に置きっ放しにしていたスマホにメッセージが届いていた。
『あと30分くらいで着く』
用件だけを伝える、簡単なホタルからのメッセージ。
それがいつ届いたのか時間を確認すると、もう20分くらい前だった。
ということは、もう間もなくホタルが帰ってくる。
そんなに早く帰ってくるとは思っていなかったから、ゆっくりお風呂に浸かっていたし、ドライヤーをあてていない髪はまだ濡れたままだ。
肩にかけたフェイスタオルで髪を拭きながら、あわてて洗面所へと走る。
洗面台の下の棚からドライヤー取り出して、鏡の横のコンセントにプラグを差し込んだちょうどそのとき。
エントランスに人が来たことを知らせるチャイムが鳴った。
きっとホタルだ。
仕方なく、ドライヤーは諦めてインターホンに出る。
「はい」
「開けて」
インターホンのカメラに映るホタルが、こちらに視線を合わせることなく低い声で指示をする。