ガーデンテラス703号
「そうだな。で、俺の言ったとおり、おとなしく待ってたんだ?」
「別に、待ってはいないけど」
私を見下ろすホタルが意味ありげに笑うから、動揺が顔に出てしまいそうで急いで彼から視線をそらす。
そのままホタルに背を向けて離れようとしたら、不意に肩をつかまれた。
「お前、また髪濡れたままにしてる」
肩に触れた、ホタルの大きな手のひらにドキリとした。
ただ軽く置かれているだけなのに、肩に触れたホタルの手のひらをやたらと意識してしまう。
「か、乾かそうと思ったらホタルが帰ってきたから」
「ふーん。それにしたって、もうちょっとしっかり拭けよ」
だんだんと顔が熱くなるのがわかって振り向けずにいると、ホタルが突然私の肩を強く引っ張った。
気付くと、私はホタルと向かい合わせになるように振り向かされていて。
ぽーっと惚けた顔をして彼のことを見上げていた。