ガーデンテラス703号


ドライヤーで髪を乾かしてリビングに入ると、キッチンの方から軽く食器がぶつかる音がした。

近づいて行ってキッチンのカウンターから奥を覗くと、ホタルがティーポットのお茶をカップに注いでいるのが見えた。

ホタルの手元には、マグカップがふたつ。

そこから、細長い湯気がゆらりと立ち昇っている。

その様子を見ていたら、私の気配に気付いたホタルが顔を上げた。


「ドライヤー終わったんだな。ソファーに座ってろよ。すぐに持って行くから」

「ありがとう」

私の分、淹れてくれたんだ。

そう思ったら、胸がほっこりと温かくなる。

嬉しくなって頷くと、ホタルに言われたとおりにソファーに腰かけた。

膝に手をのせてドキドキしながら待っていたら、後からやってきたホタルが私の前にマグカップをひとつ置く。

そしてもうひとつは自分の手に持ったまま、あたりまえみたいに私の隣に腰掛けた。


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