ガーデンテラス703号



「そうなんだ。今日食べた料理もお酒も、すごく美味しかった。昼間のカフェの時間帯も雰囲気がよくて、エスプレッソが美味しいんでしょ」

嬉しかったから、つい調子に乗ってそう言った。

だけどその瞬間、それまで機嫌良さそうにしていたホタルがこっちを向いて、私を睨むように見下ろしてきた。

突き刺すようなその視線にドキリとする。

ホタルの冷たい瞳を見つめ返しながら、私は自分の失言に気が付いた。

私は昼間のカフェの時間帯にホタルのお店に行ったことがない。

それなのについ、森岡さんから齧り聞いた口コミ情報だけで、飲んだこともないエスプレッソのことをさも知ったふうに褒めてしまった。

そのせいで、ホタルが気分を害したんだと思った。


「エスプレッソが美味いっていうのは、あの男の入れ知恵?」

低い声でそう問われて、私は身が縮こまる思いで頭を伏せた。


「ごめんなさい。私、自分で飲んだこともないのにエラそうに……」


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