ガーデンテラス703号
「あぁ、そうだな。確かにうちのエスプレッソは美味いよ。今度昼間に飲みにくれば?」
「う、うん……」
なかなか頭を上げられずにいたら、ホタルから昼間のカフェを勧められて意外に思う。
あれ、思ったほど怒ってない……?
ドキドキしながらそっと視線をあげる。
そうしたら、私を睨むように見下ろしているホタルと目が合って、ビクッと身体が跳ね上がりそうになった。
怒ってないかと思ったけど、それは私の勘違いだったらしい。
私を見下ろすホタルの目は、ものすごく冷たくて怖かった。
これから、もっと怒りの言葉をぶつけてくるのかな。
飲んでもないのに、人伝に聞いた言葉だけで評価するなんて失礼だ、とか。
「で?あの男とのデートは楽しかった?」
だけど、覚悟を決めて待っていたのに、次にホタルの口から出たのがそんな質問だった。
「あの男って、森岡さん?」
「知らねぇよ。名前なんて」
ぽかんとした顔で訊ねたら、不機嫌そうな声が返ってきたから戸惑った。