ガーデンテラス703号
「デートだったくせに、俺なんかの話を素直に信じるなんてバカだよな」
「え?」
大きく目を見開いて、ゆっくりと瞬きをする。
そんな私を見つめながら、ホタルが着ていたデニムの後ろのポケットからブランド物の革製のキーケースを引っ張り出してきた。
「俺が本当は家の鍵を持ってたって言ったら。どう思う?」
「嘘、ついてたの?」
「さぁ?もしそうだったら?」
「森岡さんに、少し悪いことしたかなって……」
さすがに家に行く覚悟はなかったけど。
繁華街の向こうの公園までは散歩に付き合えただろうから。
森岡さんにとった態度を思い出したら、なんだか後ろめたい。
「それってつまり、あいつに抱かれたかったってこと?」
膝の上に視線を落としていると 、ホタルが私を嘲るように笑いながら問いかけてきた。
「そ、そんなわけないじゃない。その前に、私、別に森岡さんが好きってわけでは……」
ホタルが急に突拍子もないことを訊ねてくるから、ひどく動揺した。