ガーデンテラス703号


「あいつのこと、気になってんだっけ?」

「えっと……」

「付き合おうとか言われてんの?」

「それは……」

続けざまに問いかけられて、何と受け答えすればいいのかわからない。

どちらかといえば、気になってるのは森岡さんではなくてホタルのほうで。

今夜だって、森岡さんに家に誘われたけど、だからって彼から告白を受けたわけではない。

森岡さんがどこまで本気で誘ってくれたかもわからない。

そういえば、ホタルから電話がかかってきて、誘いを断ったときに、とても冷たい目で見られたっけ。

私のことを本気で誘ってくれていたら、あんなふうな目をして見てくるだろうか。

考えていたら、ホタルが私の方に手を伸ばしてきて、持っていたマグカップをつかんで強引に奪った。

私に向き合うように座ったホタルが、視線を合わせたままマグカップだけをテーブルに置く。

それがコトンとテーブルにぶつかる音がしたのと、ホタルが口元に皮肉っぽい笑みを浮かべた言ったのはほぼ同時だった。



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