ガーデンテラス703号


背中が柔らかいソファーに沈む。

すぐ間近には意地悪く微笑むホタルの顔。そしてその向こうにベージュの天井が見えた。


「誰でもいいなら、俺が相手してやろうか?」

ホタルが私を見下ろしながら不敵な笑みを浮かべる。

そう言われてようやく、私はホタルに押し倒されていることに気が付いた。


「な、に言って……」

悪ふざけにしては、悪質すぎる。

今すぐ跳ね起きてホタルを突き飛ばしたいくらいだ。

でも、両手首をつかまれてソファーに縫い止められているこの状況に、尋常じゃないくらいドキドキしているのも事実だった。

口元に笑みを浮かべながら、少しつり上がった目で冷たく私を見下ろすホタル。

間近で見つめるホタルの顔は、見惚れるほどに綺麗で。

私は彼に組み敷かれたまま、動くことができなかった。

全く抵抗しようとしない私を見下ろして、ホタルが息を吐くように鼻で笑う。


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