ガーデンテラス703号




私が部屋にあがると、先にリビングへ入っていたシホが、そこにある白い皮のソファにカバンとスプリングコートを放り投げた。

それからつつっと歩き出したかと思うと、リビングと隣接している部屋のドアを開ける。


「前に見てもらったと思うけど、あゆかの部屋はここだから。送ってくれてる荷物は届いたときのまま部屋に置いてるよ」

その部屋には簡素なシングルベッドがひとつあるだけで、それ以外の一切の家具がない。

ベッドの周りには、私が一週間ほど前にここに送った段ボール箱が5つほど、無造作に置かれている。


「あぁ、うん……」

その部屋は、段ボール箱がある以外は数週間前にシホに見せてもらったときと変わらない。

南向きの日当たりのいい部屋だった。


部屋と隣接するリビングは広くて、カウンターキッチンになっている。

コンロはみっつもついていて、キッチン台が広くて料理しやすそう。

ベランダだって広くて、ひとりじゃ絶対にこんな素敵なマンションには住めない。


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