ガーデンテラス703号



でも、どうして今私なんかを。

今までホタルは、私に特別な感情を向けてきたことなんてなかった。

それがどうして急に……


触れられることにドキドキと胸を震わせながらも、まるで見たことのない獣みたいなホタルの姿が怖かった。

抵抗できずに小さく震えていると、私の首筋に唇を這わせていたホタルが顔を上げた。


「お前、無抵抗でこんなことされて、何考えてんの?」

私を見下ろすホタルの瞳が、なぜか哀しそうに揺れた気がしてドキリとする。


何考えてるか、なんて。

そんなこと、私がホタルに聞きたい。


「ホタルこそ、何考えてるの?」

一夜限りの気まぐれなら、初めからそう伝えておいてほしい。

そうでないと、変な期待をしてしまって傷付くから。


「どうして聞き返してくるんだよ」

不満気にそう言うホタルを見つめながら、私はこの前見たことを思い出していた。



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