ガーデンテラス703号




「ねぇ。どうして誕生日なのに、半個室の方のソファー席にしてくれなかったの?」


シホに指名されて注文を取りに来たホタルは、腕組みをして不満顔の彼女に向かって顔を顰めた。


「仕方ねぇだろ。お前らより先に予約が入ってたんだから」

「そんなの、店長の権限でどうにかならなかったの?」

「ならねーよ。どうしてお前の誕生日くらいで俺の権限使わなけりゃなんないんだよ」

「役にたたないなー」

シホがテーブルに肘をついて、横を向きながらため息を吐く。

その横顔を、睨むような目付きで見下ろすホタルの頬が若干引きつっている。


シホの誕生日当日、私たちは彼女の提案通り、ふたりしてホタルの店に飲みにやってきていた。

店に何度か足を運んだことのあるシホは、お店の奥にある半個室のソファー席が気に入っているそうだ。

だけど、その席だけは基本的には予約制らしい。

シホ曰く、木の柱で周りがゆるく囲われていて、他の席から見えにくくしてあり、ソファーもふかふかでかなり居心地のいい空間なんだとか。



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