ガーデンテラス703号
「いいですよね?」
有無を言わせない口調で森岡さんに言われ、私たちは半個室席から離れて店の外に出た。
店の入り口の前だと人目につくので、店の横の路地を通って裏口に回る。
そこまで来たとき、ホタルと私の後ろをついて歩いてきていた森岡さんが深いため息を吐いた。
「どういうことだよ。いきなり変な言いがかりつけてきやがって」
振り向くと、森岡さんが煩わしそうに私たちを見ながら前髪をかきあげた。
「言いがかりなんかじゃないですよ。あんた、2週間前の土曜日、こいつと店に来ただろ。だけどその前は、別の女と飲みに来てた」
「え?」
ホタルの言葉に思わず目を瞠る。
「だから何だよ。俺が誰と飲みにこようが、店長のあんたには関係ないだろ」
驚いて森岡さんの顔を見たら、彼が面倒臭そうにぼやいた。
「他の女は関係ない。だけど、こいつは別だよ」
「え?」
今度は、ホタルの言葉にドキッとする。
おどおどと視線を泳がせていたら、森岡さんが唇を歪めながら皮肉っぽく笑った。