ガーデンテラス703号
「うん。あゆかさん、本当に可愛いです」
私の後ろからシホと一緒に鏡を覗き込んでいる莉亜ちゃんがにこにこと笑った。
「可愛いよね。こんなあゆかのこと見たら、ホタルのやつ、食事どころじゃないんじゃない?会った瞬間、ホテルの部屋に連れ込まれるかもよ」
鏡越しに私と目を合わせて、シホがニヤニヤと笑う。
「ちょっとシホ。莉亜ちゃんの前でまで変なこと言わないでよ」
1週間ほど前に、誕生日は有名ホテルの高層階にあるレストランで食事をすることになったとうっかりシホに話してしまってから、彼女は事あるごとににやけて私をからかってくる。
顔を赤くしながら鏡越しに睨んだら、シホが悪戯っぽく肩を竦めた。
「だってね、莉亜ちゃん。あゆかとホタルってば、顔を合わせばイチャイチャしてるの。絶対私が同じ家に住んでること忘れてるよね。一番衝撃だったのは、ホタルの部屋開けたらふたりが……」
「シホ!」