ガーデンテラス703号
「そう」
シホがチーズを摘まみながら頷く。
意外だった。
あの、背が高くて目つきの悪い彼がキッチンに立ってクリームパスタを作る姿があまり想像できない。
「言わなかったっけ?ホタル、ここからふたつほど向こうの駅前にあるカフェのオーナーなの。夜はお酒も飲めて、パスタとかちょっとしたものを出してるから、わりと料理もうまいよ」
「へぇ」
カフェのオーナー。
どちらかというと無愛想な感じなのに。
あの人にサービス業が務まっているんだろうか。
ダイニングテーブルに並ぶ料理を見ながらじっと考えていると、シホが私の背中を押した。
「とりあえずお風呂入って着替えてきなよ。昨日、あゆかと飲みながら話したいことがいろいろあったのに、片付けに追われてそれどころじゃなかったみたいだから」
「そうだ。彼氏と別れたから話を聞いてほしいっていってたよね」