ガーデンテラス703号


最後までは言わなかったけど、ホタルを睨むその眼光の強さだけで私が言わんとしていることは充分伝わっているはずだった。

それなのにホタルは私の顔を一瞥しただけで、涼しい表情で洗面所のほうへ歩き出した。


「ちょっと」

全く取り合う気配のないホタルの態度に、ムカッ腹が立つ。

思わず声を荒げたとき、洗面所に入りかけていたホタルが私を振り返った。

彼が釣りあがった目で私をじっと見つめる。

威圧的なその眼差しに少し怯んだ。

文句を言おうとした口を閉ざすと、ホタルが嘲るようにふっと笑う。


「そっちだって初めて会ったとき人のことジロジロ見てきたんだから、お互い様だろ」


ホタルの言葉に、私は彼と初めて顔を合わせたときのことを思い出す。

上半身裸で少し髪を濡らしたまま部屋のドアを開けた彼は、程よく筋肉のついた引き締まった身体をしていて……

私は短時間で、彼をじろじろ観察してしまった。



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