ガーデンテラス703号


「こんな夜にどこか出かけるの?」

「これから仕事なんだよ。あたしさっき、ホタルが飲食店の店長やってるって言ったでしょ?ホタルの店って夜はお酒飲めるから。営業時間が夜中の2時までで、お店を任せられる他のスタッフがいるときはたまに休憩しに家に帰ってきてんの」


「へぇ、そうなんだ」

「今度一緒に行ってみる?ホタルの店だと思ったら笑えるけど、雰囲気いいよ」


「へぇ」


確かに目の前に並べられたホタルの料理は美味しいけど、私に冷たい視線を向ける彼の店にそこまで行きたいとも思わない。

でもはっきりと行きたくないとも言えないから、曖昧に笑う。

シホは、私が彼女の誘いに積極的ではないことをあまり気にしていなかった。

それよりもお酒を飲むことを楽しんでいて、空になったグラスに新たにワインを注ごうとしている。


「いれようか?」

ワインの瓶をとって持ち上げると、シホが笑った。


「うん、お願い」



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