ガーデンテラス703号
やっぱり、もう少しお金が貯まって一人暮らしできるいい部屋が見つかれば早くここを出て行かないと。
楽しそうなシホとホタルの姿をぼんやりと見つめながらそんなことを考えていたとき、何があったのかホタルがシホを見つめながら不意に口元を緩めて笑んだ。
つりあがってていつも人を睨んでいるようにしか見えないホタルの瞳には温かな色が浮かんでいて、その笑い方も優しくて穏やかだ。
何、今の表情……
ドキリと、胸が震える。
けれど、ホタルのその笑みが見れたのはほんの一瞬で、気づいたときにはもういつもの無愛想な表情に戻っていた。
何、今の……
ホタルの顔はいつもどおりなのに、なぜかそこにさっきの優しい笑みがタブってしまい、彼の顔から目を逸らせない。
あんなふうに笑うこともあるんだ。
そう思ったら、なぜか胸の高鳴りが止まらなかった。