ガーデンテラス703号


「全然そんなんじゃないから」

できるだけ動揺を悟られないように否定する。

だけどシホはいつまで経ってもにやにや笑いをやめなかった。


「いいんだよ。あたし言ったでしょ?ここのルームシェアでは恋愛に関しても制限ないって」

「だから、そういうんじゃないんだって」

「そうやって、初めから可能性を潰さなくったっていいじゃん。あ、あゆかもうちょっとホタルともしゃべりなよ。あいつ、何してんの?」

そう言いながら、ワイングラスを片手にホタルに視線を向ける。

ダイニングテーブルの隅に椅子を運んで座っているホタルは、ときどきワインを飲みながらスマホを弄っていた。


「せっかくあゆかの歓迎会なのに、あいつひとりで何してんのよ」

「別に何してたっていいよ。こんだけ料理作ってくれたんだし、放っといてあげれば?」

この部屋に引っ越してきてからほとんどまともにホタルと会話したこともないのに、彼ともっと話せと強制されてもかなり困る。


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