ガーデンテラス703号


シホはワインの空き瓶をテーブルに乱暴に置くと、ふらふらとした足取りでキッチンに歩いて行って冷蔵庫を開けた。

それから中をじっと覗き込んで、ため息をつく。


「ビール一缶しかない。ホタル、そこのコンビニでなんか買ってきてよ」

シホは冷蔵庫に一本残っていたらしい缶ビールを取り出すと、ホタルを見ながら玄関のほうを指差した。


「は?何で俺がパシられんだよ。お前が行ってこい」

すぐさまホタルが言い返すと、シホは一瞬不満そうに顔を顰めてそれからすぐに何か思い立ったようににやりと笑った。


「そうだ、じゃぁじゃんけんで負けた人が買い出し行くことにしない?」

「は?」

「え、それって私も?」

シホの突然の提案に、私もホタルも微妙そうに顔を歪める。

でも酔っ払っているシホはそんな私たちの反応にはお構いなしで、にこにこ笑いながら近づいてくると私とホタルの肩を両腕で引き寄せた。


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