音色
「うわっ!何このイケメン」

翌日会社のパソコンで『蒼井奏』と検索をかけたら画像がこれでもか!というほど出てきた。
それをボーッと眺めていたら隣の席の先輩がそう言った。

(やっぱり、イケメンだよね)

だって、初めて奏の顔を見たとき、息が止まるんじゃないかって思うほどにきれいな顔をしていると思った。

いろいろ調べると、奏は海外でも箏の演奏をしていたり、初心者でも弾ける箏の楽譜を出版していたりあたしが思っていた以上に凄い人だった。
箏と一緒に写った画像、袴姿。ファンの子が作ったであろうコラージュ。
一緒に過ごしていたのは夢だったんじゃないかと思った。
スケジュールを見ると、いくつかライブがあって、それが終わると海外へ演奏しに行くようだ。

(あたし、奏がこんなにすごい人だって知ってたら恋人ごっこしてとか言ってなかったな)

ふとそんなことを思い出す。
奏に触れられたところが熱くなるような気がする。

(あ、あたし26だもん!一晩だけの関係を経験してても全然おかしくないもん!)

例え奏が情に流されてああなっちゃったとしても、あたしは幸せだったんだから。

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