音色
「わ…あ…」

今まで琴の音色をこうやって意識して聴いたことがなかったけど、奏の奏でる音色は力強くてなのに繊細で、奏そのものだった。
和風ユニットだけあって、みんな着物テイストの服を着ているけど、小指と人差し指に付けてるリングもネックレスも、そしてお揃いだと言ってくれたピアスもいつも奏が身につけているものだった。


「なぁーんだ!奏ってこんなにすごい人だったんだ!」


最初から好きになったって、届くような相手じゃなかった。
またどこかで会えるんじゃないかって淡い期待もあったけど、本当にもう二度と会えない人だったんだ。
そう思ったら、勝手に涙が溢れていた。
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