㈱恋人屋 ONCE!
「えっと…?」
階段を駆け降りる。情報を見忘れていた私は、当然お客様を探し出すことができなかった。じゃあどうなったのかというと、何と先方から私の方に近づいてきたのだ。しかも…。
「…え?」
「よう、紗姫。」
「…何でアンタがここにいるの?」
「何でって…俺がお前を頼んだからに決まってんだろ。」
「…えぇぇぇぇ!?」
受付一帯に私の叫び声が響く。周りの人達が一斉に私の方を見る。
「全く…。昔から変わってねーな、そういう所。」
「な、何言ってんのよ。私、こう見えても変わったんだからね?」
「はいはい。…じゃあ、外行くぞ。」
私の手が握られる。
今日のお客様は…さっきも話したが、私の幼馴染である白井郁馬だったのだ。
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