ベランダ越しの片想い
「咲歩ー、どうせならDVD見ない?
先週に借りて来てたのに忘れてた」
「いいわよ」
「んじゃ、準備する」
ふわふわ、ふんわり。
柔らかくって切り分けにくいシフォンケーキにナイフを入れる。
そしてとろっとしたホイップをそばに添えてばっちり。
自分とアキの分だけお皿に乗せて、残りはみんなレンジの中へ。
テレビの前のソファに座って待機している彼の元へと運んで、テーブルに並べる。
「ありがと」
わたしはソファの上で体育座り。
アキは肘かけを使って手に顎をついている。
お互い楽な態勢になってテレビに夢中になっていく。
────映画はホラーだった。
幽霊に怯える主人公と恋人と。
切ない恋愛模様も絡み合って面白いと思う。
わたしはホラーは平気で、むしろ結構好きだったりする。
昔はあんなにも恐かったはずなのに、成長と共に楽しめるようになった。
今ではきっと、そんななものより恐いものがあるからだわ。