ベランダ越しの片想い




「咲歩」

「なに」

「明日、放課後どこか行こうか。
シフォンケーキのお礼に甘いものでも奢るよ」

「アキちゃんってば優しーい」

「棒読みもちゃんづけも辞めろ。
そんな冗談似合ってない」

「ふふ、失礼ね。
わたしだってたまには、アキの前くらい冗談だって言うわ」

「……結局どうする?」

「行くわよ。楽しみにしてる」

「うん。……俺も」



画面を見たまま、言葉だけ。

ホラーを見ながらするような会話じゃないけど、わたしたちらしいと思い、またくすりと笑ってしまった。






映画はおわり、一緒にレンタル店まで返しに行って。

また新しく借りてきたものもふたりで見た。



その日の夜、ベランダ越しに見た彼はもう今朝とは違っていつも通りで。

それがとても嬉しかった。







< 15 / 48 >

この作品をシェア

pagetop