ベランダ越しの片想い
「咲歩ちゃんも! 偶然だね」
微笑みかけてきたのは、前髪だけを編みこんだストレートヘアをそっと耳にかけた清水さん。
どうしてここにいるの、と苦く思いながら軽く会釈を返した。
驚いていたアキは、落ち着くとふぅと息を吐いて、幸せそうに笑った。
周りにはわからない程度にだけど、確実に心踊っている。
「咲良はどうしてここに?」
「えっとね、待ち合わせしてるの。
もうすぐ来ると思うから席を探していたんだけど……」
「あ、じゃあ相席する?
多分、今空きないだろ。
咲良たちがよかったら、だけど」
清水さんといるアキは、わたしを気遣う余裕もないほど楽しそうで。
わたしの意見は訊かれることはないままに話が進んでいく。
急にパフェがおなかの中でずっしりと重たくなった気がした。
もし訊かれたらすぐさま嫌だって言うのに。
だってアキは気づいていないけれど、おそらく……。