キスする顔さえ美しい



リカ先輩も同じ躊躇を感じたのか、戸田課長の手を押し戻そうとしたけれど、それはなんの抵抗にもならない。


「壁に手を付け、リカ」


抱きしめた腕の中でリカ先輩の身体を反対に向かせながら、課長は乱れた息混じりにそう告げる。


そして、次いで私の耳にはカチャカチャというベルトのバックルを外す金属音が飛び込んできた。



――午前11時28分。


扉を一枚隔てた廊下では、仕事に勤しむ仲間たちが廊下を行き交ってる。


ロールカーテンの向こうには同じようなオフィスビルが立ち並び大勢の人が活動している。


真昼のオフィス。けれど。

私の目の前にはそれにそぐわない光景が繰り広げられていた。



「…っ、はっ…ん、あっ、あっ…」

「声を抑えろ、リカ」



なんて背徳的で

―――……綺麗なんだろう。



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