キスする顔さえ美しい
堪えるように「…っ、くっ……」と零した彼の最後の瞬間の声が、耳にこびりついている。
課長は切なげな表情で大きく息を吐き出すと、綺麗に整えてある髪が乱れるのも気にせず額の汗を手で拭った。
そして、ぐったりと壁にもたれかかってるリカ先輩を気にもせず自分だけ身支度を整えると
「お前も早く仕事に戻れ」
そう言い残し長いまつげを伏せた冷ややかな目でリカ先輩を一瞥してから、課長は資料室を後にした。
リカ先輩はしばらくそのままの姿勢で死んだように動かなかったけど、小さな小さな声で
「……勝手なひと…」
と呟くと、ノロノロと身体を起こして身支度を整えた。