プリンセス☆ロード




結局そこでは何も買うことなく出てきた。
可愛いものはたくさんあったけど、旅に適した服装ではなくて、おしゃれとして着るような服ばかりだったから。





「一着ぐらいおしゃれ着あっても罰当たらないと思うけどな」





ミナトはまだ後ろ髪引かれてるみたいでちらちら後ろを振り返りながら言う。
私はそれに笑って返す。





「紗南さん」

「…はい?」






後ろから声をかけられ振り向くとソウシが小さく手招きをしていた。
私は首をかしげながらソウシに並ぶ。





「なにか、悩まれてますか?」

「…ううん。なにも、少しホームシックになったのかな?」

「紗南さんの世界の事、ですか?」





ホームシック、そう言うことにしておけば、余計な心配をかけなくて済む。







「…今すぐにでも、戻りたいですか?」






その問いに、私は考える。
今すぐ帰りたい…?


帰りたかった。
こんなわけのわからない非現実的な出来事に戸惑っていたし、誰もいない誰も知らないこんな世界、嫌で嫌で仕方なかった。




レンは口が悪くて嫌われていると思っていたし、王様は優しいけどそれは私が異世界から来た言い伝えられている救世主だったからだと思ったし。





でも、今は?





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