プリンセス☆ロード
「よく眠れたか?」
王様はやっぱり優しく笑ってて。
なんだか、この人の言葉なら信じられる気がした。
簡単には信じられる話ではないだろうけど・・・。
「はい・・・。すいませんでした」
「いや、気が動転して当然のこと。気に病むことはない」
「はい・・・」
「身体の傷は、痛むか?」
「え?あ・・・いえ」
「医師に処置をさせたが、軽い擦り傷だけだと言っておった。次第に治るだろう」
「ありがとうございます」
いろんなことが起きすぎて、身体の傷の痛みなんて忘れてた。
少し休んだおかげで頭も体もすっきりできたみたいだ。
だからこそ、この摩訶不思議な状況でも、冷静にやり取りができてるんだろう。
だって、目の前にいるおじさんが、王様なんてやっぱり信じがたいもの。
「気が動転した、ということは少しはこれが現実だと受け止めるきっかけとなったかな?」
「・・・はい。まだ、信じがたいですけど・・・」
「無理もないな。我も信じがたい」
「え?王様も?だって、驚いた様子なんて」
「我は王だ。人前で冷静でおれねば国民など守れはせんよ」
きりっとした表情で、私は、まるでライオンに出会った獲物のように身動きが取れなかった。
そして、逃げ出したいくらいのそのオーラに、心の奥で、本物だ、と思った。
「まずは何から話そうか・・・」
「この星の事・・・」
「そうさな・・・、この星の歴史は浅い。地球の半分ほどの歴史しか持たんまだ若い星なのだ。そして大きさも、地球の半分ほどといえる。大陸も、数多くある地球とは違い、二つしかないのだ」
「二つ・・・。地球に詳しいんですね」
「ああ。それは、この次の話に関連するので、のちに説明しよう。そのため、おそらく文明もこちらの方が遅れておろう?」
あの街並みは私の住んでいた地球とは違っていたけど、文明が遅れているのかはわからない。
確かに、テレビとかそういうものは見当たらないけれど、違う星なら違う文明が進んでいてもおかしくはないのかもしれないとも思う。
「大陸は二つといったが、人間が生きている大陸は一つ。小さい星といえども、人間からしたら広いものだ。その大陸には4つの国が存在する。一つはここ、ルネス王国だ」
「後、三つ国があるんですね」
そして王様は、このほかに、ゼルダ王国とムーン王国、エリシア王国の三つの国があり、それぞれの王様がまとめているのだと話してくれた。
そして、名字というものはなく、他国の人に自己紹介をするときには、○○王国のだれだれ、と説明するのだと聞いた。
それは、国一つが家族のようなもの、という考え方の元に生まれた習わしのようなものらしい。