そのとき僕は
一体、どうして?
僕は首を捻って次のやつを取る。風が吹いて、ざわざわと葉っぱが掠れた音を立てる。
もうすぐで満月だ。だけど、まだ光は足りず、月の光だけでおみくじを読むのは無理だった。
片手で携帯電話を握ったままの無理な体勢で、僕は結局全部のおみくじを開けた。だけど、内容が被っていて、ああ、これが嫌だったんだなってわかるようなものは一つもなかった。
「・・・あれ?」
僕は眉間にしっかりと皺を刻んで首を捻る。
・・・わけが判らないぞ。これをみれば、彼女が何が気に入らないかがすぐに判ると思っていた。それが判ったところで僕にはどうしようもないのだが、ここにくると感じていた妙な居心地の良さと何も判ってないというちょっとした不満が解消されると思っていたのだ。
そして、あの人がもうちょっとしっかりと、現実の人となるって。
だけど、これでは・・・。
老いた桜の木を見上げる。
彼女はいつからここに来ていたのだろう。そして、いつまでここに来るのだろうか。
僕は夜の中、一人で草原に突っ立って、途方に暮れていた。