そのとき僕は
「おい?」
一人で立ち止まってしまった僕を、友達とジャスミンが振り返る。
「どうした、行こうぜ」
友人の怪訝そうな声を聞いて、僕はようやく彼らに向き直った。そして、手をあわせる。
「ごめん、知り合いを見つけたんだ。挨拶だけしてくるから・・・先にいってて」
すぐそこだから、そう言って神社までの道筋を教える。頷いた友人がチラリと空き地の方を見た。それから何やらにやりと笑って言う。
「あの女の子?こっちみてるな、確かに。へえ、お前が女の子とねえ!」
「悪いね」
「ゆっくりでいいぞ~」
ニヤニヤとしながら、友達はジャスミンを促して歩き出す。僕はすぐに踵を返すと、あの空き地へとまっしぐらに進んで行った。
まさか。
まさか。
だけど、あの人だ。
背格好も、それから立ち位置も――――――――
緊張して急に喉が渇きだしたのを感じる。僕は走るようなスピードで、空き地に近づいていく。
視界がハッキリしてきた。
確かに、あの人だった。