ときどき
五月に入ると、クラスの全貌も見え始めてきた。
私、浅野弓弦はほとんどのスペックで並を行く人間だ。学校に行くのは比較的好きな方だけど、勉強は嫌い。話すのは好き。今のところは校則に従った模範的なスクールライフを送っている。

足立実里くんは、容貌が平均的な男子のそれを凌駕しているため、女子からの目線が少し熱いが、それだけだ。あまり人といる事に頓着しないらしく、敬遠されてはいないけれど男子の中では静かな人間の部類に入っている。なかなか話してみると口は悪いが。

委員長、渡部由美さんは、今のところ模範生への道を地で突き進んでいる。基本的に私や足立くん、佐伯くんとぐらいしか喋らず、女子ともあまり交流していない。オドオドした感じは少しあるが、私たちの中で話している時は、割とすっぱりした物言いをしたりしていて面白い。

副委員長、佐伯雅人くんは、クラスで一番社交的な男子。男子の中では常に中心に立つし、いまいち他のクラスメイトとの交流が少ない足立くんや渡部さんにも結構話しかけてくる。彼も、ある意味模範生といえる。適度に教室の温度を操作できるので、先生からも結構気に入られてるみたい。

勉強の仕方も、クラスでの立ち位置のとり方も。
高校生として学校生活という名の海を泳ぐ方法は身に付いてきたのだが。

あの、誰しも少しぐらい変わったところがあるって、分かってるつもりなんだけど。
日頃つるむ人がなかなか特殊な人種である場合の泳ぎ方は、まだ自信がなかったりする。
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