Amarosso~深い愛~の作り方♪

人の波の中を流されながら、西門を出、路地を辿った先には、いつもどおりの黒塗りが静かにあった。

なんとなく夜の海にいる亀みたいだと思う。


「じゃあな、竜宮城のお姫さん」

「げ~、またそのシリーズ?
 って、わけわかんないんだけど」

「おれも」


怜士はバッグを返すと、片手を上げて駅へと歩き出した。

口元が皮肉で歪む。

自分も。

訳がわからない。
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