神様の悪戯
再会
気がついたときは知らない部屋にいた。
自分が何処にいるのか、何が起こったのか分からないまま、周りを見てみる。

一見簡素に見えるが、凝った装飾のベッド。肌触りの良いシーツ。横の机には水の張ったたらいが置いてある。

ここはどこ?

おもむろに起き上がろうと身体を起こそうとすると、激しい痛みが走る。

「…ん、つっ!!」

「まだ動かないほうがいい。」

少し離れたところから人の声が聞こえた。
声の方を見ると、一人の男が座っている。
彼女…アリシアは、男の姿を見ようとするが、薄暗い部屋のせいか、彼の顔がはっきり見ることはできない。

「あ…なたは?」

男は、座っていた椅子から立ち上がり、彼女の近くへ寄る。
ふわりと菫の薫りが漂う。

「私はルーク。この屋敷の主だ。」
近くでみたルークは、年齢はアリシアよりも年上だろうか、随分と落ち着いた声の持ち主だ。

ルークが近づいて来たため、再度起き上がろうとして、また激痛が走り、ベッドに倒れ混む。

「無理は、しないほうが良い。脇腹の傷は血が止まったばかりだからな」

「脇腹…?」

呟いたアリシアは、自分が所々包帯で巻かれていることにやっと気づいた。

そして、思い出す。


姫様、覚悟。


マーゴの声を思い出したのと同時に、再びアリシアは気を失ったのである。

< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop