きっともう大丈夫
ここにいても彼女に会えないならここにいる必要もないと
俺は家に帰ろうとした。
すると休憩しに来たのだろうソムリエエプロンをつけた30代半ばの男が店の裏から出て、煙草に火をつけるとその場にしゃがみ、
ふーっと煙を吐いた
見たことない奴だったが妙に気になりそいつの近くまで行った。
「あの・・・すんません」
男は誰だ?って顔で、顔だけ俺の方を向き、また煙をはいた。
「ここに先日までいた雪村沙希さんをご存知ですか?」
「・・・・沙希の知り合い?」
こいつ沙希さんのこと知ってる。それに沙希って呼び捨てだった
・・・何だか嫌な予感がした。
「はい。彼女ここの店辞めたって、さっき多恵さんから聞きました。
何でやめたんですか?」
男は煙草を吸うとそのまま下を向いたまま煙をはいた。
どのくらいの間があったのだろう。
ほんの数秒だったのかもしれないが、俺にとってはすごく長く感じられた。
「・…たぶん…俺のせいかもな・・・」
耳を疑った。俺のせい?
こいつは沙希さんとどういう関係だったんだ?
まさか・・・彼氏
「・・・もしかして・・・沙希さんの彼氏さんすか?」
男は苦笑いしながら「・・・元な・・・」とつぶやいた。
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