きっともう大丈夫

ナイショの恋人

「なんでこんなアレンジしかできねぇーんだよ」
あー今日も作業場に鳴り響く怒声。
明良と付き合うようになって3カ月がたった。
母の日が近い事もありみんながピリピリしている。
私も日々の特訓と勉強のおかげで花束を任せられるようになった。
アレンジも、母の日の定番アレンジに限り作らせてもらえるようになった。
母の日は1年で一番忙しい時で実は私、母の日は今回がデビューなんです。
だからよくわかんないんだけど
他のスタッフから聞いた話では母の日前の金、土は帰れないとのこと
そして今、この店で最も忙しい男が明良なのだ。
私はまだ新人だから鉢植え物のアレンジとかマルチになんでもやらされるが明良ほどの腕前の人はこなす数も半端ないが特に指名数。
雑誌などにも明良の作品が取り上げられてるため
「鈴木さんにアレンジ頼みたい」というお客さんの数がこれこそ半端ない。
他のスタッフも明良の大変さを知っているから
多少の怒声も素直に聞くしかないといった感じだ。
私に対してもそれは同じで彼女だからって甘やかされる事は全くない。
否、他のスタッフよりも逆にひどいかもしれない。

私たちが付き合ってることは社長以外誰ひとり知らない。
黙っている方が仕事がやりやすいってのが本当の理由。
でもこの2人が付き合ってるなんて誰が信じるだろう。
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