きっともう大丈夫
その日の夜、珍しくはやく帰宅した明良に話をした。
「・・・・いいんじゃない?詩織の一押しなんだろう?」
「・・・うん・・・そうだね」
明良は私を膝の上にのせた。
「きゃ!明良何するの?」
明良は私の肩に顎を乗せ、抱きしめた。
「何だか沙希さんはうれしくないようだね?新しい子が入れば
少しは楽になるし、こうやっていちゃいちゃする時間も増えるから
俺はいいと思うけど」
首筋を明良の舌でなでられ耳を甘噛みされ色っぽ声が出てしまう。
その声に明良のスイッチが入ってしまった。
「・・・・・沙希より・・若い子だから心配してる?
俺が浮気でもするんじゃないかって」
まだあってもいないのに私は嫉妬していたのかもしれない。
25歳という年齢だけで・・・・
そう思ったら自分が情けなくなってしまう。
いつからこんなに自分は弱くなったのだろう。
気がつくと涙がぽろぽろと零れ落ちていた。
「沙希・・・」
抱きしめる腕が強くなる。
「俺がお前の事をどれだけ大事に思ってるかわかるか?」
首を縦にも横にも振ることが出来なかった。
私は不安でいっぱいだった。
明良が子どもを望んでいるのに私はそれを拒み続けた
私の我儘で・・・・
そして詩織の妊娠。
子どもを今望んでも今は作ることも出来ない。
あの時うんと頷いていたら
「あ・・きら・・・ごめんね、私の我儘で子どものこと・・・・」
もう目の前がぼやけて何も見えなくなってきた
「沙希・・・・俺にはお前しかいないんだ。」
「・・・・・・」
「あの時は、焦ってたんだ。」
明良の言おうとしてる事がよくわからず次の言葉を待った。
「俺が店の事でお前との時間を蔑にしていたからそのうち愛想尽かされて
別に男作ってしまうんじゃないかって・・・そう思ったら子どもでも作って
・・・・・お前を繋ぎ止めたくなった。・・・・・・俺って・・最低」
もしかして私たち同じような事で悩んでたの?
「私も明良しかいないの。好きで好きで・・・・だから嫌いにならないで」
「嫌いになんかなれる訳ねーじゃん。好きすぎておかしくなりそうだ」
そういうと明良は私を抱きかかえ無言で寝室へと向かった。

ベッドに下ろされると明良は私に覆いかぶさり唇を塞ぐ。
気持ちが高ぶっている明良のキスは激しく私は息をするのも必至だった。い
唇が離れるが再び塞がれ
わざと音をたて啄ばむようなキスが繰り返される。
「今夜は寝かさないから・・・沙希の体に俺を刻み込ませるから
覚悟してね」
明良の言葉通り私たちは互いの思いを確認するかのように
甘い夜を過ごした。


それから2日後だった。詩織が自分の代わりという女の子を連れてきた。
「はじめまして。広田菜々美(ひろたななみ)です」
彼女を見た途端、沙希の中で言いようのない不安が襲いかかった。
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