きっともう大丈夫
4

今の私に出来る事

あんなに好きで好きで堪らなかったのに
終わる時ってこんなに急にやって来るんだ。
まるで昼メロを見ているようだった。

昨日までは明良との子どもを望み、思い描いていたのに
明良の横はもう私ではなく・・・菜々美なんだ。
あれから泣くことも出来ず、ただソファーにうずくまっていた
もちろん眠ることもできなかった。
できることならぐっすり眠って、朝起きたら全てが夢であってほしかった。

明良もあれから部屋に閉じこもったままだった。
私はクローゼットから必要最低限の服と貴重品だけをカバンに詰め込んだ。
何度も何度も寝室のドアをノックしようと近くまでいくが
思いとどまる。
ここでノックをしたら私の決断が鈍る。本当は
「子どもを堕して!もう一度私に触れてほしい」って言いたかった。
だってまだ好きなんだもん。
でも出来なかった。だってそれを言ってしまったら私は私でなくなる。
これがただの浮気なら許せた。でも妊娠させたなら話は別。
まだ好きなの。明良が好きで好きで堪らないの。
もう一度私を抱きしめてそしてキスして・・
震える唇を両手で必死に抑えた

「今までありがとう。
 愛してくれてありがとう。
    さよなら。 」
メモ用紙に書いた最後のメッセージと結婚指輪をテーブルの上に
置いて私は住み慣れたこの家を出た。
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