きっともう大丈夫
「沙希ちゃん」
雄太を抱いた一海さんが私の隣に座り雄太を差し出す。
私は雄太を抱っこした。
「沙希ちゃん。君には詩織や僕、それに雄太がいる。
これからのことは僕たちに任せてくれないか?」
「いっくん?」
「詩織もよく聞いて。沙希ちゃんの決断は俺たちが想像する以上に
重い決断だったはずだ。・・・・もしかして沙希ちゃんが決断するきっかけを
作ったのは・・・雄太が生まれたからかなって思ったんだ。そうでしょ?」
一海さんの言葉に私は頷いた
「私ね、もし詩織たちに子どもがいなかったら
きっと菜々美に子どもを堕させていたと思うの・・・」
その言葉に詩織はびっくりして手を口にあてた
「でもね・・・雄太がね・・雄太の成長とかずっと見てたらさ
子どもを堕せなんて言えないじゃない。大切な命なのに・・・
生まれてくる子どもに罪はないんだよ。
祝福されて生まれなきゃならないのよ。」
私は雄太の頬をすりすりする。
一海さんは暖かい目で私と雄太を見ていた。
「沙希ちゃんには絶対に幸せになってもらいたい。
いや、幸せにならなくちゃだめなんだ。そのためのサポートを
僕たちにさせてくれないか?」
詩織は立ち上がると一海さんに抱きついた
一海さんはテレながらも詩織を抱きしめた
「いっくんありがとう!沙希!私たちが沙希を全力でサポートするから」
2人の言葉に私は頷くことしか出来なかった。
ありがとう、詩織、一海さん。そして・・・雄太

それから私は離婚に向けて動き出した。
感情的になることを恐れた一海さんが(特に詩織が)
明良と離婚に向けての話し合いを進めた。
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