きっともう大丈夫
お昼時間が終わり
店長の郁美さんと交代する
郁美さんから5000円の花束を1つ2時に取りに見える
から作っておいてと頼まれた。
時計をみると1時45分。
急いで作らなくちゃと花を選ぶ。
私はこの時が一番好きだ。大好きな花に囲まれて
大好きな花たちをより引き立たせる演出をするのが私の仕事だと
思ってる。だからこの仕事は一生続けて行きたい。
そう思わせたのは明良なんだけどね。

花束が完成した頃に店の入り口で「すみません」と男性の声が聞こえた
花束のお客様だと思い、笑顔で「いらっしゃいませ」と顔を上げた。
「・・・・・・・!」
一瞬時が止まった・・そんな感じだった
目の前にいたのはかつても恋人・・・・圭吾だった。
「沙希?」
圭吾も驚きを隠しきれない様子だった。
「・・・・もしかして花束のお客さまって・・・圭吾?」
圭吾は黙って頷く。
圭吾と会うのは何年振りだろう。
haluluを辞めた時は圭吾と会わないように順子さんが
気遣ってくれた。だから合わずにすんだ。
久しぶりに会う圭吾は随分とおじさんになったように見えたが
スタイルは相変わらず細身でかっこいいオヤジといったところ
「ここで働いていたとは知らなかった・・・いつから?
 俺よくここ利用するけど沙希見たことなかったし・・・」
「アルバイトなの。でも1カ月後には辞めて違う花屋に移るの」
すると店の奥から郁美さんがお昼休憩から帰って来た
「圭吾君いらっしゃい。」
「よう!」
郁美さんは私と圭吾が知り合いだと知ると
お店見てるからと気を使ってくれた。
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