きっともう大丈夫
待ち合わせの場所は何と「花淋」だった。
理由はハルと詩織、お互いが挨拶したいからだそうだ。
全く・・・何を考えてるの?あの二人は
大体、店が待ち合わせだと必然的にかなでちゃんが店にいる訳で
なんか考えるだけで怖いんですが・・・
店ではかなでちゃんが店先で水やりをしており
想定内だが、目が会うと物凄い勢いで手をふってきた。
あーこの感じじゃ~ハルは既に来ているんだよね。
店に近づくにつれ賑やかな喋り声が聞こえてきた。
気持ちを落ち着かせて店の前に立つと
「さーきさん。もうハルさん来てますよ~」
かなでちゃんのギラギラした目を避けるように
「あはは・・・ありがとう」
これ以上何も聞くなよってオーラを出しながら店に入った。
私の前には詩織と喋ってるハルがいた。
白いポロシャツに薄いブルーのひざ下丈のイージーパンツ。
靴は素足にパンツと同系のローファー。
お世辞抜きでかっこ良かった。
それに引き換え私といえば紺の七分袖のニットプルオーバーに
ジーンズといったかわいげのない格好だった。
詩織は私に気づくと
「ハル。沙希が来たわよ」と顔をにやつかせた。
「こんにちは、沙希さん」
そう言った彼の暖かい眼差しにドキッとしてしまうが、
そんな自分が怖くて目線を少し下げた。
そんな私を見てた詩織が
「ほらほら、さっさと行く行く」
とまるで追い出すように言ったが、目はとても優しかった。
「詩織さん。ありがとうございます」
ハルは詩織に挨拶すると、行きましょうと私の背中を押した。
< 74 / 137 >

この作品をシェア

pagetop