きっともう大丈夫

最高のキスを

「・・着いたよ」
そう言って車から降りた場所は10階建てのマンションだった。
新築ではないが比較的新しい感じがした。
「ハル・・」
「ここは俺の住んでるマンション。・・といってもここ、兄夫婦が住んでたんだけど今、海外赴任でドイツにいるから帰ってくるまで俺が住まわせてもらってる。兄貴からは、帰ってくるまでに自分のマンションの頭金くらい貯めとけよって言われてんだけどね」
そう言いながらエントランスを通りエレベーターのボタンを押した。
ハルは私の事を好きだと言ってくれて、私もハルの事を好きだとわかり
こうやって一緒にエレベーターを待ってる訳だけど
本当にこれでいいのかと思う気持ちもある。
だって、気持ちが通じ合ったとはいえ、いきなり今日・・しかもハルのマンションって・・・そりゃあ帰りたくないって言った言葉には嘘はないけど
でも・・・そうなると・・・そういうことする訳で・・・
で、私はハルより9歳も年上で、自分の身体に全く自信がない。
はっきり言っちゃえばエッチなんて明良が最後の人でそれ以外は
全くなかった。3年は確実に経験なし。
そう思ったら、年甲斐もなく気分は初体験を迎える処女と一緒????
あーどうしよう。
胸も大きくなければ形も悪いし、重力にも逆らえない形・・・
お腹なんかもっとみっともなくなってる。
それに新陳代謝が年齢と共に衰えてる・・・なんて
おばさん発言しちゃったら一気にやる気もうせるよね。
ってかこの身体見ただけで9年の恋も一気に冷めちゃったりして
この期に及んでパニックになってる35歳ってどうなの?
そんな私の思いを知ってかどうか定かではないが
ハルは私の手を握り締め
「緊張してる沙希・・・かわいい」
って・・・囁かないで~~恥ずかしい。
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