きっともう大丈夫
私とオーナー・・・圭吾のお姉さん(順子さん)とは学生時代、
家庭教師と生徒という関係だった。
年は離れていたけれど、私は順子さんを姉と慕い、
順子さんは私を妹の様に可愛がってくれ、
お互いの家もよく行き来していた。
圭吾とはそんな中で知り合い、付き合うことになった。
3年の交際を得てプロポーズもされ、もうすぐ結納という時に
あんなことがあり、全て白紙

決して順子さんのせいではないのだけど弟のやってしまった事を
かなり気にしていた。
このお店も順子さんが
『任せられるのは沙希しかいないの。圭吾が戻るまででいいから私の力になって』
と何度もお願いされ、圭吾が戻るまでという約束で店長になった。
「オーナーが気にすることないですよ。最初から圭吾が帰ってくるときには辞めますって言ってたじゃないですか?」
オーナーは大きなため息をつき
「じゃあ、せめて次の仕事先は私にまかせてくれない?」
と言ってくれたが本当はそれも断ろうと思っていた。
だけどオーナーの顔を見てたら断ることができなかった。
「・・・ありがとうございます。お言葉に甘えちゃいますね・・
でも1つお願いがあります私が辞めること誰にも言わないでほしいの」
「ど・・どうして?」
「私と圭吾の事みんな知らないし、きっと真実を知ったらうまくいくものも、
いかなくなっちゃうようなきがするから・・」
オーナーは黙ってうなずき「本当にごめん。」そう言って
私の肩をポンと叩き店を出た。

あーあ、もうちょっと働けると思ったのにな・・・
もっとやりたいことあったし、多恵ちゃんや真帆ちゃんもいい子だから・・・
それにこの仕事が好きだから本当は辞めたくはなかった。
もうちょっと神経が図太かったら辞めなかった・・のかな・・・
そんなことまで思ってしまった。
気がつくと涙が頬を伝っていた。
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