きっともう大丈夫
何も知らないハルは、私の耳元で
「・・・もしかしてあの子が雄太?」
私は無言で頷いた。
雄太は勘がいいから、ハルを見てきっと何か感じたのだろう。
「さーたん。もしかして、浮気?」
5歳の子どもが言う言葉?!しかも浮気って・・浮気?
「さーたんは僕とけっこんするっていったのに!これは浮気だ!」
「雄太!」
詩織が雄太を呼んだ。
でも雄太は詩織の声など聞こえていないようで
じっとハルを睨んでいた。
「あのね・・・雄太」
私は雄太に話しかけようとした。するとそれを制したのはハルだった。
「ハル?」
ハルは私にウインクをすると雄太の方へと近づき
「雄太くんだね。俺は前野春斗っていいます。」
雄太は黙ってハルを睨んだままだった。
「雄太は、さーたんの事すごく好きなんだね。」
「あんたは?」
「俺?俺もすごーく好きだよ。」
ね・・・ね・・・君たちどんな会話してんの?
自分の事を言われてむず痒くなる。
雄太は腰に手を当てハルにむかって叫んだ。
「僕だって大好きだもん」
ハルはだまって頷いた。
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