きっともう大丈夫
「そっか~。でも雄太ごめん!」
ハルはいきなり雄太に頭を下げた。
私も詩織も一海さんもかなでちゃんもびっくりして
固まってしまった。
「俺・・・雄太が生まれるずっと前からさーたんのこと好きで
好きで・・・一生懸命いい男になってやるって頑張って、やっと
さーたんに認められたんだ。だから今は譲れない。
雄太がどうしてもさーたんと結婚したかったら頑張っていい男になってから
俺とガチで勝負しよう。」
ハルは決して雄太を子ども扱いせず同じ目線で男同士の話をした。
「いい男・・・・か・・」
雄太がボソッとつぶやいた。
「雄太!」
一海さんが雄太を呼んだ。
「パパ」
「雄太、春斗君は本当に頑張っていい男になって、さーたんに
好きだって言ったんだ。お前も悔しかったら頑張ってみろ。
とりあえず今はパパとママのお手伝いをすることが
いい男の条件だ」
一海さんはハルと私に今のうちに行きなさいと目で合図を送ってくれた。
ハルは礼をすると。
私の手を握り、店を出ようとした。すると
「春斗!」
一海さんに担がれた雄太がハルを呼んだ。
「僕、頑張っていい男になる。俺がいい男になるまでさーたんは
春斗にまかせたからな!さーたんを泣かせたら俺許さないからな」
ハルは
「絶対泣かせないから。安心してくれ」
そう言って私たちは店を出た。
店を一歩出たところでハルは空を見上げた。
「俺も、うかうかしてられないな。」
ボソッとつぶやいた。
私はそんなハルの手を握り返すと
「かっこ良かったよ」とつぶやいた
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