きっともう大丈夫
番外編

偏った想いの先に   side菜々美

「あーむかつく!
せっかく3年も続いたのに何で私がここを辞めなくちゃいけないのよ。
大体さー誘ってきたのは直央(なおひさ)の方なのに・・・」
居酒屋で一人やけ酒を飲んでいた。
私は3年間勤めた花屋を辞めた。
理由は男女のもつれってやつだ。
見た目よりかなり若く見えるが、出るところは出ている。
女からするとうらやましいスタイルだ。
だがそのスタイル故にトラブルも絶えない。
決して自分から好きにならないが男が寄ってくる。
それは彼女のいない男だけとは限らなかった。
直央もその限らない男の一人だった。
菜々美も運が悪かったのか・・・言い寄って来た男、直央の彼女は菜々美が勤める花屋のオーナーの娘だったからだ。
どんなにこっちに非がなくても相手の女からしたら
自分の彼氏を寝とられたとしか思わないのだろう。
自分から手を出した直央はと言えば、彼女に謝るばかりで私には一切の謝罪もない。
だから男は嫌いなんだ。
どいつもこいつも・・・・・本当は人並の恋愛したいのに
でも、自分自身を好きになれないのに人を愛せるのか・・・
花だけは・・・
花だけが私を裏切らなかった・・・・
苛立ちと虚しさを感じながらその日飲みまくった。

仕事を辞めて3日が過ぎた頃だった。珍しい人から電話が来た。
「菜々美?」
「詩織さんですか?」
それは菜々美の昔働いてた花屋の先輩、高岡詩織からだった。
「今時間大丈夫?」
「時間なんてメチャメチャありますよ。私、無職なんで」
「へ?無職?マジ」
詩織の声がやたらテンションが高く私はちょっと引き気味だったが
次の言葉でテンションが上がった。それは
「ねー!私のかわりに花屋で働かない?」だった。
話を聞くと詩織さんが妊娠&結婚で今働いている花屋を辞めるとの事
親友とその旦那さんがやってる花屋だから自分が信頼できる人に働いてほしいということだった。
自分で職探ししなくてもいいのだから、こんな願ったり叶ったりな事はない。
二つ返事で承諾した。
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