BitteR SweeT StrawberrY
あたしは、余りにも唐突にそういわれたものだから、何て答えたらいいのかわからなくて、ぽかーんってケイの顔を見つめてしまう。
ケイは・・・
今の恋人はあたしだって・・・
遠巻きに、そう、言ってるのかな?
だとしたら・・・
あたしは・・・・
あたしはすごく・・・嬉しい・・・

「うぅっ・・・」

なんだか急に胸が熱くなってきて、あたしは、思わず、うるうると目に涙を溜めてしまった。
それで、なんだか急に、佐野さんのことを聞いてみたくなって、ぷるぷると唇を震わせながら、あたしは、必死の思いでこう言ったのだ。

「で・・・でも・・・佐野さんは・・・・きっと、まだ・・・
ケイのこと・・・ケイのこと、好きだと思うよ・・・
きっと、恋人に戻りたいって思ってると思うよ・・・
ケイも・・・
もしかしたら、迷ってるんじゃ・・・ないの?」

「・・・・なんでそう思うの?」

「だって・・・だってあたしは・・・
佐野さんとケイに比べたら、あたしなんか・・・
まだ、全然、ケイと知り合って、時間短いし・・・・
あ、あたしは・・・佐野さんには・・・敵わない・・・
もし、ケイにとって一番いいことが・・・佐野さんと戻ることだとしたら・・・
あたしは・・・っ」

「それが『ガク・コンプレックス』だって言ってるんだよ。
結局ところさ、時間なんか関係ないんだよ・・・優子。
知り合って間もないとか、知り合って長いとか・・・そんなのは、好きだって感情には関係なんかないんだ。
男だとか女だとか・・・そんなことも関係ない。
好きなものは好きって、ただそれだけ・・・
ついでに言えば、オレは、自分の選択肢は自分で決める。
何が自分にとって一番ベストなのか・・・そんなこと、オレは決めることであって、優子が決めることじゃない。
余計なこと考えすぎだよ。
まぁ、そこが・・・優子らしい優子なとこなんだけど・・・」

「うぅっ・・・・」

あたしは泣きそうになりながら、それでも必死に涙がこぼれるのを我慢した。
ケイは今、具合が悪いのに、馬鹿なこと聞いてしまったなって、あたしは、心の底から後悔した。
余計なことを立ち聞きした上に、一人で勝手に傷ついて、ほんとにあたしは、どうしようもない馬鹿だなって、そう思った。
だけどケイは、そんなあたしの目の前で、ものすごく優しい顔をして笑ってる。

「ご、ごめんね・・・あたし、また、変なこと・・・言った・・・ごめんね」

あたしは、涙を堪えながら、震える声でそう言った。

「また謝ってるし・・・謝らなくていいんだよ。困ったやつだな・・・ほんとに」

そう言ってケイは、そっと両腕を伸ばして、あたしの体をぎゅうって抱き締めてくれた。
あたしも、両腕を伸ばして、ケイの背中をぎゅうって抱き締める。
あったかくて、柔らかなケイの体。
少し熱っぽいその体温が、ケイの体調の悪さをあたしに伝えている。
そんな時なのに、あたしは・・・
余計なことばっかり言って、ケイを困らせて・・・
ほんとに馬鹿・・・
謝ったら、きっとまた、ケイに、「また謝る」って呆れられてしまうから・・・
ごめんの代りに、あたしは、ケイの耳元でこう言ったのだ。

「ケイ・・・大好きだよ・・・好きだよ・・・ほんとに好きなの・・・」

ケイは黙ったまま、そんなあたしの言葉に応えるように、また、ぎゅうって、あたしを抱き締めてくれた。

ケイはきっと、まだ迷ってると思う・・・
それは、あたしの女の勘というものだった。
ケイは、あたしを好きだと言ってくれたけど、やっぱり、心のどこかでは、迷ってるんだと思う。
その証拠に、ケイは、「佐野さんとは戻らない」って、明言はしなかった。

それでも・・・
ケイがあたしを好きだと言ってくれたことは、本当のことだって、それだけは、判る気がした。
あたしの前で、ケイは弱気な顔も、悩んでる顔もしない。
どんな選択肢を選ぶかは、本当にあたしが決めることじゃなくて、ケイが決めることだから・・・
だからあたしは、やっぱり、アタフタなんかしないで、このまま、ケイを好きでいようって、思った。

例え、ケイがどんな選択肢を選んでも、あたしがケイを好きなことには、変わりないんだから・・・・

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