BitteR SweeT StrawberrY
【11】~A~
次の朝。
結局あたしは、目を腫らしたまま、会社に行く羽目になってしまった。
メールとか、電話とか・・・来るかなって、ちょっとだけ期待してた自分もいたけど、結局、何もないまま。
ケイにしてみれば、佐野さんとの会話を盗み聞きされた上に、突然泣かれて、訳のわからないことを口走られて、きっと、ものすごく、迷惑だったと思う。

あたしって、こんなに子供っぽいやつだったんだ・・・
とんでもない構ってちゃんだ・・・
ケイが、あたしのこと、ちょっとだけでも特別に見てくれてるのかなって、そう思ってた自分が恥ずかしい。
ケイにしてみれば、あたしなんて・・・
ほんとに小さな世界しかもってない、つまらない女で、からかうには丁度良い相手だったのかもしれない・・・
それに、ケイは女の人で、あたしも女で・・・
どう考えても、不自然だもんね・・・

自分が、卑屈になってるのはわかってる。
でも、そう考えないと・・・涙なんか止まらなくて、絶対に、諦めきれない自信もあった。
あたしってば、ほんと馬鹿だと思う。
あたしってば、ほんと器が小さい奴だなって思う。

その日のあたしは、違う意味でぼーっとしてて、上司や同僚に好奇な目で見られてた。
仕事にプライベートを持ち込むなんて、あたしは、社会人としても失格なんだ。
仕事しようって端末に向かうけど、効率が悪くて仕事が進まない、あたしは、ますます、自分が嫌いになりそうだった。
お昼を過ぎた頃、そんなあたしのポケットの中で、ブルって携帯が震えた。
あたしは、思わず、変な期待をしてしまう。
ケイだったら、嬉しい・・・
でも、こっそりメールを開いて、またがっかりしてる自分が、もっともっと嫌いになる。
メールの送り主は、大輔だった。

『お疲れさま~
戻ったよ~!今回も大変だったぁ~><
優子ちゃん、今夜暇なら、デートしよう!』
相変わらず、脳天気なメールの内容だった。
でも、これを脳天気と思ってしまうあたしが、きっといけないんだと思う。
大輔は、あたしの彼氏だし、こんなつまらないあたしにプロポーズまでしてくれた人だし。
大切な人のはずなのに・・・
おかしいのは、やっぱりあたしなんだ。

『お疲れさま!
うん、今夜は・・・暇かも、いいよ。
何時にどこで待ち合わせ?』

本当は、大輔に会えるような気分じゃないけど・・・あたしは、メールにそう書いて、送信した。

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