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      *
真帆ちゃんと入れ替わるほうに出勤してきたのは、あたしと同じ歳の 一ノ瀬 彩(いちのせ あや)さんだった。
あたしはバイトが終わり、帰る時間。
ケイは、調度、休憩の時間だった。
携帯が鳴ればすぐにお店に戻るだろうケイと、そしてあたしは、お店の近くのファーストフード店で一服することになった。
なんだかどきどきしながら、あたしは、向かいに座るケイを見る。
ケイは、テーブルに頬杖を付いて窓の外に視線を向けながら、コーヒーを飲んでいた。
あたしは、ちょっとだけうつむき加減になって言う。

「今日、佐野さんに・・・コーヒーおごってもらったよ」

ケイは、くすくすと笑いながらあたしに向き直ると、ちょっとだけ首を斜めに向けながら言う。

「そうか、よかったな」

「ケイ、よく佐野さんのお店に、同じ商品あるってわかったね?」

「マナトが、ファックス送ってきたから、デザイン見て、ガクも発注しそうだなって思ってさ」

「わかるんだ?そういうの?」

「そこそこは。まぁ付き合い長いからな」

「ん・・・そっか。付き合い長いからって、佐野さんも言ってたよ。
佐野さんて・・・ケイに似てるね?」

「んー???」

ケイは、ちょっとだけ眉根を寄せて、じーってあたしの顔を見る。
あたしは、思わず笑ってしまった。

「え?嫌なの?似てるって言われるの?」

「いや別に・・・でも、オレとガクはぜってー別物」

「それはわかってるよ!
二人とも、スケールが大きいなって、そういうことだよ」

「・・・・・なる」

そう答えてコーヒーを飲んだケイをちらっと見て、あたしは、ちょっとだけ躊躇ったけど、思い切って聞いてみることにした。

「ケイ」

「ん?」

「佐野さん・・・ケイのこと、心配してるっぽかったよ?
すごい真剣な顔して・・・
あたしに・・・ケイに何かあったら、連絡してくれとか、そういう、ちょっと意味のわからないことを・・・言ってきた」

「・・・・・・・」

ケイは、窓の外を見つめたまま、押し黙った。
きっとケイには、佐野さんが何を言いたかったのか、判ったんだと思う。
ケイが黙り込むのは珍しいことで、あたしは、なんだか、やっぱりこれは聞いたらいけなかったんじゃないかって、そう思って、うつむいてしまう。

「ご、ごめんね!変なこと、言っちゃったかも・・・ごめん・・・」

「なんで謝るの?」

ケイは、ふっとあたしの方を振り返って、どこか切なそうに小さく笑った。

「優子が、謝る必要ないだろ?おまえ、謝り過ぎだって、いつも言ってる」

「う・・・うん・・・そっか・・・」

「ガクはあれで、無駄に心配性だからな」

「え?」

「なぁ、優子」

「ん?え?なに?」

「人間は死ぬまでに、どれぐらい・・・自分の好きなこと、できるんだろうな・・・」

ケイはそう言って、唇だけで小さく笑う。

「え?」

あたしは、その言葉の意味がよくわからなくて、きょとんしたまま、ケイの横顔を見つめてしまう。
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